
現代ドイツの作家による自伝的作品。双極性障害の当事者である書き手が、赤裸々な告白と実在の人名を交えながら、ポップカルチャーと音楽への愛着を織り込んで綴った「闘病記」である。表紙では、シアンとマゼンタにわずかにずれた線が一対の眼鏡の輪郭をかたちづくり、欧文と和文のタイトルもところどころ散らされて置かれる。色版の重なりが生む二重像は、現実と「背後の世界」のあいだで揺らぐ視界そのものを、白い余白のなかに静かに浮かび上がらせている。

著細馬宏通
装丁西垂水敦+市川さつき+krran
装画丸紅茜
河出書房新社 / 2020年
エンターテイメント