
新人記者となった主人公が、特ダネを追い、人と街を駆けまわる週刊誌編集部の日々を描いた長篇。スクープにたどり着くまでの焦りと高揚、取材現場の手触りが、軽やかな筆致のなかに編み込まれていく。表紙は、淡い山吹色を背景に、汗を散らしながら鞄を抱えて走る女性をフラットなイラストで大きく置き、彼女のまわりに週刊誌、タクシー、ビル街、記者会見、電話などの取材場面を卵形のコマで散らす構成。足元を駆け抜ける数羽のひよこが題名の「たまご」と呼応し、駆け出しの記者の身軽さと拙さを、誌面のような賑やかさで束ねている。

著桝本壮志
装丁城井文平
装画城井文平
文藝春秋 / 2020年
文学・評論