
古びた品々に宿る「つくも神」と新米教師たちが行き交う、神望町を舞台にした学園ファンタジー。桜の花弁が舞い散る春の光景のなか、教師らしき人物と着物姿の存在、虫眼鏡を構える人物、招き猫やだるまといった器物が一枚に編み込まれ、人と物の境界がやわらかく溶け合っていく。タイトルは筆で書き起こしたような手描き文字で、淡いピンクと山吹色を基調にした柔らかな彩色が物語の春めいた温度を伝える。器物がふと目を覚ます瞬間の、そのほのかなにぎわいを画面に閉じ込めた一冊。
著甲田学人
装丁百足屋ユウコ+豊田知嘉
装画花邑まい
KADOKAWA / 2020年
文学・評論