
旧約聖書のダビデとゴリアテの物語を、巨人ゴリアテの視点から静かに描き直したグラフィック・ノベル。戦いを望まないまま立場に縛られていく一人の男の心情が、淡々としたコマ運びと余白の多い構成で綴られていく。表紙は生成色の地に、岩へ腰掛け槍を抱える小さな人物像を中央下にぽつりと配置。細い線とハッチングで刻まれた茶褐色の人物は、寂しさと諦観を帯びて見える。タイトル文字は左上に小さく置かれ、広大な余白が彼の孤独を増幅させる。物語の核となる「待つ」時間そのものが、装丁の沈黙として現れている。

著長崎訓子
装丁大島依提亜
パイインターナショナル / 2015年
コミック・ラノベ・BL