
角川ホラー文庫から刊行された、作家・那々木悠志郎シリーズの起点となる長編。忌まわしき木にまつわる土俗的な因習と、若き日の那々木が向き合う最初の事件を描く。カバーは、暗い背景に絡みつく無数の木の根や蔓が画面下方から人物を包み込むように伸び、その中心で札のようなものを手にした少年と、足元に佇む黒衣の人物が垂直に配される構図。赤みを帯びた根と紙片の白、人物の青白い肌が暗色のなかで際立ち、湿った土の匂いまで漂うような筆致でホラーの気配を立ち上げる。タイトルは右側に大きく明朝で組み、左の朱色帯に著者名を配して、和の怪異と現代的な物語性をひとつの画面に束ねている。

装丁和田悠里
装画ぽち
KADOKAWA / 2017年
文学・評論