
場末の繁華街を舞台に、見慣れた日常の裏側へと滑り落ちていく薄気味悪さを描いた短篇集。表紙はホラー文庫らしい一枚の絵で覆われ、雨に濡れた路地と「成吉思汗」「お料理さかえ」といった看板の赤や橙、奥に佇む人影が湿った夜気を立ち上げる。左手前には縞の幕越しに白い馬の頭部が並び、生活の風景にぬっと異物が差し込まれる構図になっている。書名は太い明朝で縦に大きく抜かれ、絵の奥行きと拮抗しながら、町の三丁目という日常のあわいに口を開いた工場の不穏さを静かに告げている。
著京本喬介
装丁中村晋弥
装画ミキワカコ
KADOKAWA / 2017年
文学・評論