
旅の途上で出会う町々を、生活者の目線で綴った随筆集。見知らぬ土地の食堂や市場、路地裏の気配に身を浸しながら、自分の輪郭をそっと確かめていく散文が並ぶ。表紙は円形に切り取られた南国の浜辺のイラストレーション。麦わら帽子の人物が犬と並んで海へ手を振る背景に、椰子の木と小舟、点在する島影と白い雲が淡い水彩のタッチで描かれる。白地に黒の明朝でタイトルが縦に置かれ、余白の広さが旅先のひとときの空気感を運んでくる。遠くの町に呼ばれていく感覚が、円窓のような構図に静かに収められている。
装丁須田杏菜
装画遠田志帆
KADOKAWA / 2014年
文学・評論