
漆黒の狼と名指される男と、白亜の姫騎士。背中合わせに立つ二人の図像が、対照と並走という物語の骨格を一枚で告げる英雄譚の第一巻。白を基調にした余白の広い面に、墨と淡彩でにじませた水彩タッチの人物画が浮かぶ。黒衣に深紅の房を垂らした男と、銀の鎧に剣を抱いた女。題字は「狼」「姫」だけを大きく太字で取り、間に細い欧文の手書きを差し込む構成で、漢字とラテン文字の重量差が一冊の主題を視覚化している。装画の静けさが、勇壮になりがちな英雄讃歌に陰影を与えている。
著堀川アサコ
装丁須田杏菜
装画おとないちあき
KADOKAWA / 2017年
文学・評論