
ふと「窓の外を見てください」と告げられたときの、視線が動く一瞬を抱えた片岡義男の小説。表紙はグレー一色の地に、鮮やかな黄色で縁取りされた一枚の窓のイラストが置かれる。ガラス面はハーフトーンの細かなドットで描かれた淡い水色で、外光が透ける質感を抽象化している。タイトルは黒のすっきりとした書体でゆったり組まれ、窓のかたちと並走するように配される。簡潔な図像とミニマルな配色が、ただ視線をひとつ動かすという静かな所作を、そのまま表紙に置き換えている。
著相沢沙呼
装丁坂野公一
装画丹地陽子
講談社 / 2018年
文学・評論