一覧に戻る文学・評論ウツボカズラの甘い息柚月裕子平凡な主婦が、夫の知人だという見知らぬ女に少しずつ生活を侵蝕されていく——日常の裏側で進行する依存と支配を描いた長編サスペンス。漆黒の地に、暗紅色の花々で覆われた女性の顔がぼうっと浮かび上がる。露わなのは口元だけで、目は花弁の奥に沈み、誰のものとも知れぬ気配を放つ。タイトルは細身の明朝で右上から縦に流れ、白い画数が闇に細く息づく。甘やかな花の塊が顔を喰むその構図そのものが、抗えぬ甘い息に絡め取られていく物語の予感を立ち上げている。About出版社幻冬舎出版年2018年判型文庫ジャンル文学・評論Credits装丁アルビレオ装画Marco MazzoniAmazonで見る