
会話のできない自閉症者として綴られてきた著者が、三十歳を迎えた今あらためて言葉にする、日々の感覚と他者との関わりについての覚え書き。生成りの地に、半円の器のようなかたちと、その上に並ぶ三つの緑のドーム状の隆起が手描きのタッチで配される。輪郭はわずかに揺らぎ、淡いピンクと若葉色の対比がやさしい。タイトルは縦組みで右上から段を踏んで降り、余白が大きく取られている。穏やかな図像と整理された文字組が、内側の世界をゆっくりと差し出すような佇まいをつくっている。

著蒼月海里
装丁鈴木勉
装画六七質
KADOKAWA / 2017年
文学・評論