
生物兵器によるパンデミックの発生、その背後にある国家テロの疑い、そして容疑者は日本——アガサ・クリスティー賞受賞作家が放つ近未来ミステリ。ドーム状の温室めいた構造物の下に、透明な皮膜を纏った骸骨が立ち、頭上には淡く光る輪が浮かぶ。背後には筆致の荒い「売国」「テロル」の文字が血のような赤で大きく刷られ、暗緑のトーンに鋭い緊張を走らせる。聖と汚、信と裏切りの境界そのものを、一枚の装幀が静かに可視化している。

著穂波了
装丁世古口敦志+coil
装画Kanehira
早川書房 / 2019年
文学・評論