
蒸気機関と錬金術が交差する世界を、妖精めいた少女の冒険として描く一冊。深紅を背景に、エプロンドレス姿の金髪の少女が、自らの背丈ほどある巨大な金属製のペン先を抱えて立つ。緻密に描かれたキャラクターイラストの周囲には、アール・ヌーヴォー調の金の植物文様と火花のような輝きが額縁のように配され、ファンタジーの華やかさと工業的な質感が同居する。和文タイトルは白抜きの明朝で縦に大胆に置かれ、その下に小さく英題が添えられる。煤に汚れたエプロンの白が、赤と金の装飾世界に物語の手触りを呼び込む装画となっている。

著穂波了
装丁世古口敦志+coil
装画Kanehira
早川書房 / 2019年
文学・評論