
深夜の高速バスターミナルを舞台に、日々の暮らしに迷う人や人生の節目を迎えた人が交錯する連作短編。最終話まで読み終えたとき、それらが奇跡だったと気づく構成だという。カバー上半分は夜のバス車内をイラストで切り取り、窓ガラスに映る乗客の表情を温かなオレンジの灯りが照らす。下半分は白地に橙の太いカタカナで「バスクル」を大きく置き、漢字の「新宿」を重ねて運行表示のような視線を誘う。窓越しの淡い光と帯の鮮やかな橙が呼応し、夜行に身を委ねる時間の心細さと安らぎを同時に立ち上がらせる。

著朝比奈あすか
装丁大路浩実
装画伊藤彰剛
講談社 / 2011年
文学・評論