
衣服から事件の真相を読み解く仕立屋探偵・桐ヶ谷京介を主人公にした連作短編集。布や縫製の痕跡から人の過去を浮かび上がらせる、6つの事件簿が綴られる。生成りの地に開いたファスナーが斜めに走り、その内側で頬杖をつく男と立つ女、糸巻きや赤いピンクッション、ボタンといった裁縫道具が線画で軽やかに散らされる。クローゼットの中身をそっと開いて覗き込むような構図と、抑えた色数のなかで効く赤の一点が、衣服に隠された秘密を解いていく物語の手触りをそのまま装幀に映している。

著伊吹亜門
装丁坂野公一
装画水沢そら
小学館 / 2024年
文学・評論