
旅芸人めいた一座と少年を主軸に据えた連作コミックの第1巻。深い藍と緑に沈んだ夜の空気のなか、つば広の帽子を被った人物が枝先の小花に視線を落とす構図が、物語の始まりを静かに告げている。タイトルは右側に大きく縦組みで配され、白くかすれた手描き風の筆致が画面の闇に滲むように置かれる。左上には著者名を仏語の小さな副題が支え、舞台装置のような端正さを添える。漆黒のマントと舞い散る花弁が、見世物の華やぎと旅の寂寞を同時に呼び込む装画になっている。

著山里亮太
装丁新上ヒロシ
装画大橋裕之
朝日新聞出版 / 2018年
文学・評論