
島根県の小さな町で書店を営む店主が、本屋という場所で人と本を待ち続ける日々を綴った一冊。淡い色鉛筆と水彩で描かれたカバーには、地方の幹線道路沿いに建つ「本・CD」の看板を掲げた店と、ランドセルを背負った子どもたちが手を振り合う光景が広がる。タイトルと著者名は右上に縦組みでひかえめに置かれ、余白の白さが昼下がりの空気を運ぶ。誰かが立ち寄るのを待つ店と、誰かに会いに駆け出す子ども——本屋に流れる時間の柔らかさが、絵の手触りごと閉じ込められている。
著向田邦子
装丁櫻井久+中川あゆみ
装画長谷川潾二郎
河出書房新社 / 2022年
文学・評論