
アルコール依存、孤独、労働、家族——自身の経験を素材に書き継がれた短篇群が、死後の再評価を経て邦訳された作品集。表紙の上半分には、煙草を指にはさみ斜にカメラを見やる若き日の作家を捉えたモノクロ写真が大きく配され、下半分は深い紺地に縦組みの推薦文と帯コピーを沈める。明朝の和文タイトルと細身のセリフ体英題が白く浮かび、人物の生々しい質感と、活字の静けさが拮抗する。剥き出しの言葉と、その手触りを丁寧に受けとめる構えとが、一冊の紙面に同居している。

著椹野道流
装丁岡本歌織
装画二宮悦巳
講談社 / 2018年
文学・評論