
中国語と中華料理を入り口に、漢字一文字一文字に宿る食文化と言葉の手ざわりを読み解いていくエッセイ。台湾在住の著者が、青椒肉絲の「絲」、麻婆豆腐の「麻」といった料理名の中に潜む意味を辿り、中国語の豊かな世界を「口福」として綴る。表紙はやわらかなベージュ地に、青花の縁取りを思わせる白い皿に盛られた青椒肉絲と、花形の白皿に湯気立つような麻婆豆腐を上下に配置。料理イラストは細い線と粒だった彩色で素朴に描かれ、縦組みの大ぶりな明朝体タイトルにはカタカナで小さくルビが添えられる。漢字を「読む」ことと料理を「味わう」ことが、卓上の二皿のように静かに並ぶ装丁。

著獅子文六
装丁小川恵子
装画北澤平祐
筑摩書房 / 2018年
文学・評論