
一級建築士の著者が東京・三田にセルフビルドで建てる小さなビル「蟻鱒鳶ル」をめぐる記録。建築の常識を逸脱した工法、施主と職人と設計者を一人で担う異形の現場、それを支える思想と暮らしの軌跡が綴られる。表紙は足場と鉄筋に覆われた未完のコンクリート建屋を正面から捉えた写真で、画面全体に白い線描で作業する人々のシルエットが重ねられている。実在の構造物と、そこに宿る無数の手の動きを線で召喚する構成。タイトルは右上に縦組みで小さく、書名と現場が同じ密度で立ち上がる一冊。
著いとうせいこう
装丁佐藤亜沙美
河出書房新社 / 2014年
文学・評論