
古い和菓子屋を舞台に、人ならざる客たちが訪れる怪奇譚。季節の菓子をめぐる小さな事件を、店主と白い狐の少女が静かに解いていく連作短編集である。カバーには満開の桜が淡く散り、藍鼠の着物をまとった青年と白装束の狐耳の少女が、菓子箱を挟んで並ぶ。屋号印を模した朱の落款、隷書風の「春寿堂」の角印、軽やかな筆致のロゴが、和菓子屋の佇まいと現代ライトノベルの軽快さを橋渡ししている。淡桃と紺青の対比が、現世と幽世のあわいを思わせる一冊。
著甲田学人
装丁百足屋ユウコ+豊田知嘉
装画花邑まい
KADOKAWA / 2020年
文学・評論