
出雲を舞台に、地方紙の編集局で働く人々の日々を描いた連作。新聞作りの現場の手触りと、土地に根づいた神話的な気配が、ささやかな日常の出来事のなかに重なっていく。表紙はやわらかな線で描かれたイラストで、書類を抱えた青年と、頭に三毛猫をのせた少女が編集局らしき室内に立つ。背後には積まれた本や紙束、古い什器が並び、画面全体は赤みを帯びたセピアの色調にまとめられている。手描きの太い文字でタイトルが大きく置かれ、印刷物の現場のざわめきと神社の街の静けさが、一枚の絵のなかで穏やかに同居している。
著北森鴻
装丁大岡喜直
装画toi8
講談社 / 2021年
文学・評論