
江戸後期、五十を過ぎてから日本中を歩いて測量した伊能忠敬の旅を、伝説の怪魚という幻想を絡めて描く児童文学。少年と老人がともに「星」を見上げて旅する、史実と物語の境界を漂う一冊である。表紙は和紙のような薄黄の地に、巨大な赤い魚の背を踏みしめて立つ和装の二人を細い線で描く。タイトルは黒の明朝で大きく解体配置され、文字の隙間から夜空と波が覗く。緻密な装画と余白の効いた書体が、地を測る人間のささやかさと、海と星の大きさを同じ画面に同居させている。
著濱野京子
装丁城所潤
装画あわい
静山社 / 2023年
絵本・児童書