
イタリアの作家ブッツァーティが晩年に編んだ短篇集『難しい夜』の前半26篇を訳出した一冊。寓話と幻想が街の日常に忍び込む、没後50年の追悼出版第二弾である。カバーには絵物語ふうの四コマが据えられ、街の屋根や寝室、運河の水面に、深い緑色の不定形な生き物がぬっと現れる。手描きのイタリア語キャプションと、版画めいたかすれた青の階調が、童画と不穏のあいだを行き来する。帯の白と本体の鈍い青が、夢のなかに侵入してくる「ババウ」の気配を、静かに紙面に閉じ込めている。

著AichingerIlse、小林和貴子
装丁塙浩孝
装画オオツカユキコ
東宣出版 / 2016年
文学・評論