
死後の世界「ニルヤの島」を巡る信仰と、生のすべてが記録される未来とが交差する長編SF。来世という概念を失った人類の物語が、南洋の島影と思索の言葉で織り上げられていく。表紙は、淡い水色のワンピースをまとった少女が浅瀬に立ち、目元には光のプリズムがかかる構図。背後には霞んだ吊り橋と海、足元の砂には小魚や朽ちた何かが散らばり、楽園と廃墟が同時に立ち上がる。タイトルは縦書きの太い和文と細い欧文がレイヤー状に重なり、画面端には観測ログのような英数字が小さく刻まれる。風景と情報レイヤーの二重写しが、信仰と記録という主題を視覚に翻訳している。

著一田和樹
装丁早川書房デザイン室
装画佐藤おどり
早川書房 / 2017年
文学・評論