
死後の世界「ニルヤの島」を巡る信仰と、生のすべてが記録される未来とが交差する長編SF。来世という概念を失った人類の物語が、南洋の島影と思索の言葉で織り上げられていく。表紙は、淡い水色のワンピースをまとった少女が浅瀬に立ち、目元には光のプリズムがかかる構図。背後には霞んだ吊り橋と海、足元の砂には小魚や朽ちた何かが散らばり、楽園と廃墟が同時に立ち上がる。タイトルは縦書きの太い和文と細い欧文がレイヤー状に重なり、画面端には観測ログのような英数字が小さく刻まれる。風景と情報レイヤーの二重写しが、信仰と記録という主題を視覚に翻訳している。
著Hénaff、Sophie、山本、知子、川口明百美
装丁水戸部功
早川書房 / 2019年
文学・評論