
現代日本のSFシーンを牽引する書き手たちによる、宇宙・AI・ポストコロナなどテーマ別に編まれた14篇のアンソロジー。表紙はモノクロームで描かれた少女の横顔が、結晶のような鋭利な多面体に取り囲まれた構図。瞳だけが画面の中央で静かに開かれ、周囲の破片に反射するように像が砕けていく。その上に、朱に近い赤の明朝体で組まれた縦書きのタイトルが大胆に重なり、参加作家名が細い縦組みでびっしりと並ぶ。白い帯の「光より速く。」という一行が、灰と赤のコントラストを引き締めている。閉ざされた現在から未知の世界へと視線を投げる、その瞬間を封じ込めたような一冊。

著津原やすみ
装丁松木美紀
装画寺田亨
早川書房 / 2020年
文学・評論