
言語が大量殺戮を可能にする「文法」として描かれる、ゼロ年代以降の日本SFを代表する長編の新版。テロ後の管理社会で特殊部隊員が「虐殺の器官」を追う物語が、語りそのものの倫理を静かに問い詰める。カバーは黒い戦闘装備の主人公を画面中央に据え、背後に砕けた瓦礫の断片を漂わせるモノクロームの構図。タイトルは太い明朝の白抜き、英字ロゴはタイポグラフィの細線で重ねられ、硬質な金属とアニメ的人物像を一枚の絵に同居させている。図像と書体の温度差が、語ることの暴力性をそのまま視覚へと翻訳している。
著神永学
装丁坂野公一
装画アオジマイコ
集英社 / 2019年
文学・評論