
中華風の架空王朝を舞台にした長編歴史ファンタジー「金椛国春秋」シリーズの一冊。漠野(砂漠)へと向かう旅路を軸に、宮廷を離れた人物たちの邂逅と運命が描かれる。表紙は水彩のにじみで黄金色の砂塵と藍黒の夜空を対比させ、その境界に薙刀を携えた若者と被衣の人物が静かに立つ。背後には鷹の影と細かな花の意匠が散り、淡彩のやわらかさが武具の硬質さを和らげる。タイトル文字は墨色の明朝で大きく組まれ、画面の幻想性を引き締めている。砂と夜のあわいに立つ二人の姿が、物語の不穏と希求をそのまま視覚化している。

著浅白深也
装画海島千本 design:鈴木亨
KADOKAWA / 2019年
文学・評論