
人の死相を視る能力をもつ高校生・弦矢俊一郎が、五本の刃にまつわる怪異と向き合う死相学探偵シリーズ第四作。ホラーとミステリの境界を歩く長編である。表紙では椅子に腰掛けた青年と、その膝にのぼる灰色の猫がやわらかな筆致で描かれ、背後には淡い朱や桃を滲ませた水彩のような色面が立ちのぼる。タイトルは骨太な明朝で縦に大きく配され、英字の細い罫が上部を引き締めている。淡い色彩のなかに孤独と静けさを宿し、怪異と隣り合う日常の気配を伝える一冊。

著市川哲也
装丁西村弘美
装画まいまい堂
東京創元社 / 2023年
文学・評論