
人気作家11名による短編を集めたアンソロジー。それぞれの代表作や人気シリーズの「もうひとつの物語」が並ぶ、読者を脇道へ誘う一冊である。表紙には淡いクリーム色の地に、ボブカットの少女が静かにこちらを見つめる肖像画。深い臙脂のノースリーブが画面中央で強い面となり、平坦な塗りと簡潔な線で人物の感情を抑制している。タイトルは右側に縦組みで小さく置かれ、左には著者名が等間隔に積まれて、視線を絵から文字へと往復させる。物語の側にひそやかに佇む人物像と、列なる名前の余白が、本編の隣に広がる小さな世界を予感させる。
著小野寺史宜
装丁坂詰佳苗
装画Cinta Vidal
KADOKAWA / 2020年
文学・評論