
タイトル「手足をのばしてパタパタする」は、日常の中の小さな脱力や所在なさをそのまま身振りにしたような響きをもつ。表紙は俯瞰で切り取った小さな仕事部屋の手描きイラスト。本がびっしり並ぶ書棚、デスクライト、付箋、丸い掛け時計、床に寝そべる人物と、棚の上に佇む小さな生き物。生活の断片が淡い線で淡々と置かれ、多色の手書きタイトル文字はてんでに角度を変えて、まとまりすぎない構図と呼応する。気負わず身体ごと放り出すような時間が、画面の隅々から立ち上がる。

装丁西村弘美
装画九条キヨ
KADOKAWA / 2015年
文学・評論