
定時退社を信条とする会社員・東山結衣を主人公に、働き方の理想と現実を軽快に描いた長編小説。仕事に追われる同僚や上司との衝突を通じて、自分の時間をどう守るかという普遍的な問いを差し出す作品だ。表紙は白を基調に、紺のジャケットと淡いピンクのタイトスカートを纏った女性のイラストを中央に据え、書類が宙に舞う構図でオフィスを離れる瞬間を切り取る。手書き風の和文タイトルは縦組みで大きく、足元には英文コピーをくすんだローズで添え、軽やかさと芯の強さを同時に立ち上げている。装いの選択がそのまま生き方の選択であることを、白い余白が静かに肯定する一冊。

著小川一水
装丁川谷康久
装画平沢下戸
新潮社 / 2014年
文学・評論