文学・評論
象牙色の眠り:京都洛東連続死の謎
柴田よしき
京都・洛東を舞台にした連続死の謎を追うミステリ。少年の手のひらにとまる青い蝶が、夕陽に染まる景色のなかでひときわ澄んだ色を放っている。逆光に半ば透けた人物の輪郭、奥にぼんやりと佇む洋館、揺れる草むら——すべてがオレンジから赤褐色のグラデーションに溶け込み、記憶の底をのぞき込むような淡い焦点で描かれる。タイトルは線の細い明朝体で空に浮かび、装画の柔らかな光に静かに寄り添う。鮮烈な一点と霞む全体の対比が、過去に潜む謎の輪郭を浮かび上がらせる。