
覆面レスラーの装いをした介護師と、車椅子の老人が杖と注射器のようなものを構える。荒唐無稽な設定の中に介護現場の熱量を立ち上らせる長編小説。鮮烈な黄色の地に、赤い炎のような筆致が画面下部から立ちのぼり、青と黒の覆面、白い介護衣、車椅子の老人を縁取る。タイトルは縦組みの太い明朝で右肩に配され、星マークが見得を切るように添えられる。手描き感のあるイラストとビビッドな配色が、福祉と格闘技という相容れない二つの世界が同居する物語の体温をそのまま装丁に流し込んでいる。

著麻沢奏
装丁金上倫子
装画坂本ヒメミ
双葉社 / 2016年
文学・評論