
お酒を題材にした女性作家五名による短編アンソロジー。ビール、ワイン、日本酒など、それぞれの「ほろよい」のひとときに寄り添う物語が編まれている。表紙はクリーム色の余白に、水彩で描かれたビールグラスを一杯だけ据える構成。淡い黄金色のグラデーションと、上部に乗ったきめ細やかな泡の白が透明感をたたえ、グラスの輪郭は柔らかくにじむ。タイトルと著者名は細く慎ましい手書き文字で縦に置かれ、視線を妨げない。一杯のグラスが灯す静かな時間を、装丁そのものが先に差し出している。

著渡辺淳子
装丁鈴木久美
装画マメイケダ
光文社 / 2020年
文学・評論