
五分間で読み切れる怪談を集めた児童向け百物語シリーズの第二巻。「不気味のとびら」と題された本巻は、日常のすぐ隣に潜む薄寒い気配を、子どもにも届く短い物語の連なりとして差し出す。表紙は深い緑とくすんだ青を基調に、左右で色の違う眼を光らせる黒い獣の顔と、青く沈む街の輪郭を平面的に組み上げた構図。赤い舌のような帯と、太い明朝で縦に置かれた「百物語」の白文字が、静かな画面に一点の緊張を走らせている。やわらかな図像のなかに芯の冷たさを忍ばせ、頁をひらく前から物語の温度を伝える一冊。
著濱野京子
装丁城所潤
装画あわい
静山社 / 2023年
絵本・児童書