
食にまつわる27人の書き手による散文を編んだアンソロジー。「食べることは生きること」という編者の一文が、台所の何気ない断片から記憶や生の手触りを引き出していく。淡いグレージュの地に、ミルクピッチャー、ゆで卵を載せた皿、ガラスの器、目玉焼きのフライパンを並べた静物画が中央に置かれ、上部の和文タイトルと下部に縦組みで連なる執筆者名が、白い余白を介して呼吸するように配される。器物の素朴な存在感と、名前の列が作る静かなリズムが、日々の食卓に積もる記憶の重さをそのまま装丁に映している。

著北沢平祐
装丁中嶋香織
講談社 / 2021年
絵本・児童書