
17歳の高校生に向けて行われた特別授業の記録。答えを急いで覚えるのではなく、まず問いを立て、当たり前を疑ってみる——その思考の手ほどきを、平易な語り口で綴る一冊。鮮やかな黄色一面に黒インクのみで刷られた線画が、眼鏡をかけた話者のバストアップを中心に、階段状の図像や走る人物、放射の線を素朴に配置する。手描き味の残るタイトル文字も相まって、教科書めいた真面目さと漫画的な軽さが同居する佇まい。難解になりがちな主題への、明るく開かれた入口になっている。
著尾崎世界観
装丁古屋郁美
文藝春秋 / 2019年
文学・評論