
飼い猫エルとの暮らしを綴った、町田康による私的な物語。生き物と日々を共にすることの不思議が、独特の語り口で立ち上がってくる。表紙には、木の上から逆さに身を伸ばす白猫、切り株に腰かけ本を読む蛙、足元に咲く野の花々と草むらの小さな兎が、緻密なペン描写と淡い彩色で描かれる。中央に置かれた濃緑のオーバル枠にタイトルと著者名が金で抜かれ、絵巻物のような細密画を引き締めている。猫の視点で覗き込まれる小さな生き物たちの世界が、そのまま本の世界へと続いていく。
著篠田真由美
装丁大岡喜直
装画下村富美
講談社 / 2016年
文学・評論