
異世界から戻ってきた少女たちが集う寄宿学校を舞台に、「行って帰る」物語の余白を描く現代ファンタジー。原題《Every Heart a Doorway》が示すように、扉の向こうの記憶を抱えた者たちの繊細な群像が編まれる。表紙は劇場の緞帳を思わせる構図で、シャンデリアの灯る暗幕の前に三人の少女が立ち、左右には尖塔めいた装飾柱が画面を縁取る。藤色の地にオレンジと深緑、装飾的な細線で描かれたイラストは絵本のような華やぎを纏いながら、人物の表情はどこか醒めている。扉のような額縁の内側に、それぞれの旅の余韻が静かに収められている。

著赤川次郎
装丁鈴木久美
装画坂本ヒメミ
KADOKAWA / 2022年
文学・評論