
華術師と呼ばれる青年が花を介して謎を解いていく、植物と人の物語をめぐる連作。白いシャツの男が百合の花束を抱え、視線をこちらに投げかける構図が表紙の中心に据えられる。背景は煤けた紫から黄土へと滲み、その上に「迷宮庭園」の四文字が縦に大きく配されるが、文字は半透明の墨色で人物像と溶け合い、読むより前に「庭園」の気配として立ち上がる。タイトル横にはローマ字の小さな副題が添えられ、繊細な描線の絵と書の重なりが、花と謎が同じ場所に咲く庭の感触を伝えている。
著浅生鴨、京楽産業.株式会社、スロウカーブ
装丁團夢見
装画コザキユースケ
新潮社 / 2019年
文学・評論