
夏の盛りに人ならざるものを斬る剣士の物語。怨霊にもつれた恋を、夜気を裂くように見届ける一篇である。装画は朝顔の白とオレンジ、鬼灯らしき朱と濃い藍を絡ませ、格子と簾を背景に二人の人物を中央に据える。長身の人物は縦縞の藍黒い着流し、傍らには小柄な振袖姿。輪郭線は太く均一で、浮世絵の構図を現代的にひらいた線描である。タイトルは縦の朱地に白く抜き、花の奔流を一筋の刀のように貫く。咲き乱れる夏と、静かに立つ刃。その温度差そのものが、この本の手触りになっている。
装丁團夢見 imagejack
装画雪広うたこ
imagejack / 2014年
文学・評論