
あやかしが営む宿「天神屋」を舞台に、人間の娘・葵が異界の住人たちと織りなす生活を描く和風ファンタジーの第四巻。本巻では宿から攫われた主人公の身に何が起こるのかが軸となる。表紙は淡い水色の空と海を背景に、菅笠を被り黄の着物をまとった女性が大皿を手に立ち、その傍らで黒装束の獣耳の青年が腰かける構図。足元には朱色の金魚が泳ぎ、奥には「魚」の幟を掲げた人物が小さく描かれ、市井の賑わいと水辺の涼やかさが共存する。タイトル文字は朱の縦帯に白く抜かれ、透明感のある水彩と相まって、異界の祭礼めいた一日の気配を静かに立ち上げている。
著甲田学人
装丁百足屋ユウコ+豊田知嘉
装画花邑まい
KADOKAWA / 2020年
文学・評論