
筆耕士──人に代わり筆で文字を綴る仕事を担う相原文緒のもとに持ち込まれる、六つの依頼と秘密をめぐる連作短編。表紙では、淡いベージュのワンピース姿の女性が筆を手に佇み、足元には「恋」「桜」など墨書きされた紙片が散らばる。背後には和柄をパッチワークのように継いだ布地と、赤や青の花々が彩りを添える。明朝体のタイトルは黒、サブタイトルは細く控えめに添えられ、白の余白が全体をふわりと包む。筆一本に託される人の想い──その繊細さと華やぎが、画面のなかに静かに同居している。
著翡翠ヒスイ
装丁近藤ひろ
装画新井陽次郎
KADOKAWA / 2017年
文学・評論