
茶屋らしき場所で交わされる、人ならざる者との束の間の語らいを描いた一篇。淡彩で起こされた線画は、ベストにエプロン姿の青年と、髪に獣耳をのぞかせる少女を木のカウンター越しに向かい合わせ、湯気の立つ器を中央に配する。背景は深い藍と煤けた焦茶で沈め、人物だけに柔らかな光を残すことで、店内の静けさと外の闇を分けている。タイトルは右上に縦組みで白く抜かれ、著者名は小さな黄色の短冊に納められて、画面の物語性を邪魔せず添える。装画と余白の取り方が、ティータイムという時間の親密さをそのまま頁の中に閉じ込めている。
著十三湊
装丁近藤ひろ
装画Minoru
KADOKAWA / 2019年
文学・評論