
葛飾北斎の娘・応為を主人公に据えた歴史小説の下巻。父の影に隠れながらも筆をとり続けた女絵師の生涯を、海外の作家が静かな筆致で描き出す。表紙には絵筆を手にした女性を描いた浮世絵の一場面が古びた紙の質感ごと配され、その上に「北斎と応為」の白い明朝が大きく重なる。下部には原題「The Ghost Brush」の手書き風欧文がレースのように流れ、黒い余白が画面を額装のように引き締める。古典絵画と現代タイポグラフィが一枚の中で響き合い、語り直される女絵師の像を静かに浮かび上がらせている。

著チェ・ウニョン
装丁坂川栄治+鳴田小夜子
装画山本由実
亜紀書房 / 2020年
文学・評論