
かつての築地市場の一日を、夜明け前の搬入から競り、仲卸、片付けまで克明な絵で追いかける児童書。場内の喧騒や人の動き、魚や箱の質感までを俯瞰の構図で描き、市場という巨大な仕組みそのものを子どもの目線でほどいていく。表紙は鉄骨の屋根を頂く場内を斜め上から見下ろした俯瞰画で、「活魚」「まぐろ」「鮮魚」と墨書された看板の下に、発泡スチロール箱とターレ、長靴の人影が細かなペン線と淡い水彩で敷き詰められる。タイトルは右上に紺地の縦組みで重ねられ、賑わいの画面を静かに引き締める。情報量の多い絵を、落ち着いた色面と書体で読み物として成立させた一冊。

著廣嶋玲子 マタジロウ
装丁大岡喜直
装画マタジロウ
小峰書店 / 2017年
絵本・児童書