文学・評論
上流階級 富久丸百貨店外商部 (3)
高殿円
老舗百貨店の外商部を舞台に、富裕層の顧客と外商員の機微を描く人気シリーズの第三作。淡いラベンダーの地に、ネックレス、ワインボトル、抹茶碗、椿の和装小物、パンプス、果実の盛り合わせなど、顧客の生活を彩る品々が黒一色のペン画で隙間なく散りばめられている。中央には金縁のリボン状カルトゥーシュが置かれ、毛筆風の題字と「其の三」がクラシカルに収まる。一見華やかな上流の暮らしの目録のようでありながら、線描の静けさが、品物の向こうにある人々の事情までも淡々と陳列してみせる。