
姉の不審な死をきっかけに、残された者が断片をたぐり寄せていく心理サスペンス。アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀処女長篇賞の受賞作。表紙は淡いグレーの地に、滲んだ指紋のような痕と赤い飛沫が散らされ、邦題は鮮烈な朱、英題は控えめな白で層をなす。和欧のタイポグラフィが互いに侵食し合うレイヤー構成が、消えた人物の輪郭をうっすらと残しているようでもある。痕跡だけが取り残された喪失感を、装丁が静かに引き受けている。
著Heikala 倉地三奈子
装丁こまゐ図考室+駒井和彬
マール社 / 2021年
アート・建築・デザイン