
神社の境内らしき夜の景色を背に、明るい髪色の青年と眼鏡の少女が並び立つ。タイトルが示すとおり、人ならざる者と人とがひとつ屋根の下で暮らす物語の気配が、二人の距離感と視線の差から静かに伝わってくる。背景には月と桜、そして無数の狐面が淡く浮かび、群青と乳白を基調にした夜のグラデーションへ溶け込んでいる。タイトルは明朝で端正に組み、著者名は朱の円形ラベルに白抜きで配して画面の重心を整える。幻想と日常のあわいを、彩度を抑えた筆致でやわらかく束ねた一冊。

著小田菜摘
装丁関静香
装画シライシユウコ
集英社 / 2021年
文学・評論